はじめてのデリケートゾーンケア:正しい洗い方&初心者の疑問を徹底解説

デリケートゾーンのケアというと、どこか人には相談しづらくて、つい自己流で済ませてしまいがち。実は、誤った洗い方や刺激の強いアイテムを使うことが、かゆみやニオイといったトラブルを招く原因になることも。
はじめての方でも正しくケアできるようにやさしくポイントをまとめました。ぜひ、参考にしてください。
なぜ、正しい洗い方が大切なの?
デリケートゾーンをきちんとケアする目的は、肌のバリア機能を守りながら清潔を保つことです。必要以上に洗いすぎると、かえって常在菌が減ってしまい、バリア機能が低下して刺激を受けやすくなります。
一方で、デリケートゾーンには、汗や皮脂などの汚れに加えて、尿や分泌物が陰部にたまって垢となる“恥垢(ちこう)”が付着しやすい部位でもあります。恥垢は雑菌の栄養分になるため、正しく洗って汚れをきちんと落とさないと雑菌が繁殖しやすくなり、ニオイやかゆみなどのトラブルを引き起こしかねません。
だからこそ、過不足なく、適度に洗うことが肝心です。
洗浄剤は何を使えばいい?
ボディ用の石鹸でも洗えないわけではありませんが、アルカリ性の製品は刺激が強すぎて、肌が荒れたり乾燥したりしやすい場合があります。
おすすめは「デリケートゾーン専用ソープ」や「弱酸性の洗浄剤」。なるべく香りや着色料が控えめなものを選び、保湿成分(ヒアルロン酸やセラミドなど)が配合されているかどうかもチェックしてみましょう。
これらの成分が配合された製品なら、洗いあがりの肌を保護し、乾燥を防いでくれます。
デリケートゾーンの正しい洗い方

1.石鹸はしっかり泡立てる
デリケートゾーンは粘膜に近い部分なので、通常の皮膚よりも敏感。デリケートゾーン専用のソープを使い、しっかり泡立てましょう。
2.指の腹でやさしく洗う
Iライン(陰部のひだ)の部分は複雑な構造をしており、皮膚同士が重なっていたり細かいシワがあるため、汚れや雑菌が溜まりやすい箇所です。人差し指と中指の腹を使って、円を描くように丁寧に洗いましょう。特に、ひだの奥に白いカス(恥垢)が溜まりやすいので、やさしく重点的に洗うのがポイントです。
3.ぬるま湯でしっかりすすぐ
デリケートゾーンは人肌程度のぬるま湯(35~37℃)で洗い流すようにしましょう。熱湯や熱すぎるお湯は、肌に必要な皮脂まで奪ってしまい乾燥や黒ずみの原因になることも。
泡や洗浄剤が残ったままだと、分泌物と混ざってニオイやかぶれの原因になりやすいため、完全に泡が消えるまで丁寧にすすぎましょう。
なお、前から後ろに向かって、ひだの部分をやさしく広げながらすすぐのがコツです。
4.膣の中までは洗わない
膣内には乳酸菌が常在しており、自然な自浄作用を保っています。膣内まで洗ってしまうと、この乳酸菌が減ってしまい、自浄作用が低下する恐れがあります。
デリケートゾーンのケアは膣まわりまでにとどめましょう。
5.タオルドライは“押さえる”イメージで
洗い終わったら、清潔なタオルでそっと押さえるように水気を取りましょう。
ゴシゴシとこすると摩擦が刺激になり、かゆみや黒ずみの原因になる可能性があります。
毎日のケアで気をつけたいこと

「キレイにしなきゃ」と思うあまり、何度も洗い直すのは避けましょう。1日に何度も洗うと必要な常在菌まで洗い流してしまい、逆にトラブルを起こしやすくなってしまいます。どうしても気になるときは、洗浄剤は使わずにぬるま湯で軽く流す程度で十分です。ニオイが気になるときも、香りの強い製品でごまかさず、まずは正しい洗い方を見直してみてください。それでも改善しない場合は、早めに婦人科へ相談してみましょう。
プラスアルファで快適に

デリケートゾーンをより快適に保つためには、正しい洗い方に加えて下着の選び方も重要です。通気性の悪い化学繊維や締め付けが強い下着はムレの原因になりやすく、肌トラブルのリスクを高めます。綿素材や通気性の良い下着を選ぶことで、ムレやかゆみを予防しやすくなります。
また、洗浄後の保湿ケアも取り入れると、乾燥からくるかゆみを防ぐことができます。保湿成分配合のクリームやジェルを外陰部周辺やビキニラインに塗るだけでも、しっとり感が格段にアップ。
生理中はとくにムレやすい時期なので、こまめにシャワーで軽く流したり、清潔なナプキンやおりものシートに取り替えるなど、小まめなケアを心がけましょう。
デリケートゾーンは、その名の通りとても繊細な部分。洗いすぎや刺激の強い製品を使えば、かゆみやニオイといった悩みの原因になってしまいます。
だからこそ、弱酸性・低刺激の洗浄剤を使い、指の腹でやさしく洗うことが大切。シンプルなケアですが、これだけで快適さはぐんと変わってきます。
最初は少し戸惑うかもしれませんが、慣れてしまえば毎日の習慣の一部として自然に取り入れられるはず。ぜひ、今日から正しい洗い方を実践し、デリケートゾーンの快適ケアをはじめてみてくださいね。


美容皮膚科・美容外科医
1999年東海大学医学部卒業、順天堂大学大学整形外科医局入局。2005年より順天堂大学麻酔科医局入局し、ペインクリニックで整形外科関連の痛みに関する治療を学び、麻酔科標榜医取得。