妊娠中・授乳中でも制汗剤やデオドラントは使っていい?
妊娠をきっかけに、汗のかき方やニオイの感じ方が以前と変わったと感じる方は少なくありません。多くの方が「体温が高くなった気がする」「汗をかきやすくなった」と感じ、いつも使っていた制汗剤やデオドラントをそのまま使い続けてよいのか、ふと不安になることがあります。
しかし実は、妊娠中・授乳中だからといって制汗剤やデオドラントを一律にやめる必要があるわけではありません。大切なのは、体の変化を理解したうえで、成分表示のどこを確認すればよいかを知っておくことです。この記事では、妊娠中・授乳中に汗やニオイが変化する理由と、制汗剤・デオドラントを選ぶときに一般的に意識されているポイントを整理します。
こんな方へ
- 妊娠中に汗の量やニオイの変化を感じている方
- 授乳中も今まで通りのケアを続けてよいか気になっている方
- 制汗剤・デオドラントの成分表示をどう見ればよいか知りたい方
妊娠中・授乳中に汗やニオイが変化しやすい理由
妊娠すると、女性ホルモンの分泌量が大きく変化し、基礎代謝や血流量も普段とは異なる状態になります。体温をやや高めに保とうとする働きが強まることで発汗量が増えやすく、皮脂の分泌バランスも変わりやすいといわれています。
授乳期に入ると、今度はホルモンバランスが再び大きく動きます。母乳をつくる過程でエネルギー消費が増えるため、汗をかきやすくなったと感じる方も多いようです。こうした変化は一時的なものであることが多く、体が新しい役割に対応しようとする自然な過程のひとつと考えられています。
このような背景があるからこそ、「今までより汗やニオイが気になる」と感じても不思議ではありません。まずはこの時期特有の体の変化として理解しておくことが、ケアを見直す第一歩になります。
肌質そのものが変わりやすいことも知っておく
汗の量だけでなく、肌のバリア機能自体が普段とは異なる状態になりやすいのもこの時期の特徴です。ホルモンバランスの変化は皮脂膜のバランスにも影響するといわれており、乾燥しやすくなる方もいれば、逆にべたつきやすくなる方もいます。同じ人でも、妊娠前は問題なく使えていた製品が、肌の状態が変わったことで「なんとなく合わない気がする」と感じるケースも珍しくありません。
これは製品自体が変わったわけではなく、肌側の受け止め方が変化したために起こることが多いと考えられています。だからこそ、「以前から使っているから大丈夫」と思い込まず、そのときどきの肌の状態に目を向ける姿勢が大切になります。
制汗剤・デオドラントに含まれる主な成分と役割

制汗剤・デオドラントには、目的の異なるいくつかの成分が組み合わされています。それぞれの役割を知っておくと、成分表示を確認するときの手がかりになります。
- 汗を抑える成分(アルミニウム系など)
汗腺の出口付近に作用し、汗の量そのものを一時的に抑える働きがあるとされる成分です。 - 殺菌・抗菌成分
汗や皮脂を分解する肌の常在菌の働きを抑え、ニオイのもとが生まれにくい状態を保つ役割を持ちます。 - 香料
ニオイを香りでカバーする目的で配合されており、製品によって配合量に幅があります。 - 保湿成分
肌の乾燥やべたつきを防ぎ、使用感を整えるために加えられています。
これらの成分の種類や配合量は製品によって大きく異なります。「制汗剤だから同じ」ではなく、パッケージや公式サイトの成分表示を確認する習慣をつけておくと安心です。
妊娠・授乳の時期ごとに意識したいポイント

体の状態は妊娠期間や授乳期間の中でも変化していきます。時期に応じて意識したいポイントを整理します。
妊娠初期
つわりなどでニオイに敏感になりやすい時期です。香料の強さが気になる場合は、香りが控えめ、または無香料タイプを選ぶ方が多いようです。肌も普段よりゆらぎやすいため、初めて使う製品はまず少量から試すと安心です。
妊娠中期・後期
お腹が大きくなるにつれて体温調整の負担が増え、発汗量がさらに増えやすい時期です。汗をかいた後にそのままにせず、こまめに拭き取ってから塗り直すなど、清潔を保つ工程自体を意識すると気持ちよく過ごしやすくなります。
授乳中
授乳中は、赤ちゃんの顔が胸元に近づく機会が多くなります。香りの強さや、塗る部位が赤ちゃんの顔に直接触れやすいかどうかを意識し、必要に応じて塗る位置や量を調整する方も多いです。
制汗剤・デオドラントを選ぶ・使うときに意識したいこと
体の変化を踏まえたうえで、日々のケアで意識できるポイントを紹介します。
- 成分表示を一通り確認する
パッケージや公式サイトに記載されている全成分表示に目を通す習慣をつけましょう。 - 初めての製品はパッチテストから
二の腕の内側など目立たない部分に少量をつけ、数時間〜1日程度様子を見てから本来の使用部位に使うのがおすすめです。 - 香りの強さを見直す
つわりや授乳期でニオイに敏感なときは、無香料・微香タイプに切り替えるのもひとつの方法です。 - 不安な点は自己判断で抱え込まない
肌に異常を感じたときや、特定の成分について気になることがあるときは、産婦人科医や薬剤師に相談すると安心です。
これらはあくまで一般的に意識されている工夫であり、体質や肌の状態には個人差があります。少しでも気になる変化があれば、無理に使い続けず立ち止まって確認する姿勢を大切にしましょう。
よくある疑問Q&A

Q. 「無添加」「天然由来」と書かれていれば安心して使えますか?
A. 「無添加」「天然由来」は特定の成分を配合していない、または植物由来の原料を使っているという意味であり、それ自体が肌への刺激のなさを保証するものではありません。表示の意味を正しく理解したうえで、他の成分と同様に確認する対象のひとつとして捉えるとよいでしょう。
Q. 今まで問題なく使えていた製品でも、妊娠中は肌に合わなくなることはありますか?
A. ホルモンバランスの変化により、肌の状態や感じ方がこれまでと変わることはあるといわれています。今まで使っていた製品でも、少量から試す、様子を見ながら使うといった意識を持つと安心です。
Q. 授乳中に脇へ塗ったデオドラントが赤ちゃんの肌に触れてしまうのが心配です。
A. 授乳の際に体が密着しやすい部位への使用が気になる場合は、脇よりも触れにくい位置に塗る量を控えめにする、授乳の直前は避けて授乳後に塗り直すなど、タイミングと部位を工夫している方が多いようです。気になる場合は使用量や部位を見直しながら、ご自身のペースで調整してみましょう。
まとめ
妊娠中・授乳中の汗やニオイの変化は、体がその時期特有の役割に対応しようとする自然な過程のひとつです。
制汗剤やデオドラントを一律にやめる必要はありませんが、時期ごとの体の状態に合わせて、成分表示を確認する・パッチテストをする・香りの強さを見直すといった工夫を取り入れることで、より安心してケアを続けやすくなります。
まずは今使っている製品の成分表示を、あらためて確認することから始めてみましょう。
※ご注意 本記事は、生活習慣に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の医療的効果や症状の改善を保証するものではありません。内容のご利用にあたっては、あらかじめご了承ください。
美容皮膚科・美容外科医
1999年東海大学医学部卒業、順天堂大学大学整形外科医局入局。2005年より順天堂大学麻酔科医局入局し、ペインクリニックで整形外科関連の痛みに関する治療を学び、麻酔科標榜医取得。









