冬の「皮脂の酸化臭」は頭皮から始まる
寒さと乾燥の季節になると、肌のカサつきや髪のパサつきが気になり始めます。でも実は今、気をつけたいのは“頭皮のニオイ”。冬は、顔よりもむしろ「頭のてっぺん」から皮脂酸化臭が強まりやすい季節なんです。
なぜ冬の頭皮がニオいやすくなるの？
一見、汗をかかない冬は清潔そうに感じますが、頭皮環境は夏よりも過酷。乾燥と皮脂の過剰分泌が同時に起こることで、皮脂が酸化しやすくなり、“甘酸っぱいニオイ”を放つようになります。冬は空気の乾燥で水分を失いやすく、頭皮のバリア機能が低下。すると体は潤いを守ろうと、皮脂を余分に分泌。この皮脂が時間とともに酸化すると、独特のツンとした酸味を帯びたニオイに変化。特に帽子やマフラーを使う冬はムレやすく、酸化がさらに進行してしまうのです。また、冷えによる血行不良で代謝が滞ると、老廃物の排出もスムーズにいかず、頭皮に皮脂や角質が溜まりやすくなります。これも酸化を後押しする要因のひとつです。
冬こそ見直したい頭皮ケア習慣
1. 洗い方は“やさしく丁寧に”
乾燥する季節こそ、強い洗浄力のシャンプーは避けて。指の腹でマッサージするように洗い、ぬるめ（約38℃）のお湯でじっくりすすぎましょう。頭皮の汚れや酸化皮脂を落とすことを意識しながらも、必要なうるおいは残すのが理想です。
2. シャンプー後はすぐに乾かす
自然乾燥は頭皮にとって大敵。濡れたままだと雑菌が繁殖しやすく、ニオイやかゆみの原因に。ドライヤーは頭皮から20cmほど離し、根元から風を通すように乾かします。最後に冷風で仕上げると、キューティクルが整い、頭皮も快適です。
3. 頭皮にも“保湿”をプラス
顔と同じく、頭皮も冬は乾燥しています。洗髪後にスカルプローションや保湿ミストを使い、軽くマッサージしながらなじませましょう。血行が促進され、皮脂バランスが整うことで酸化臭の予防にもつながります。
4. 帽子やマフラーは“こまめにリセット”
冬のファッションアイテムもニオイの原因に。汗や皮脂がついたまま放置すると、菌が繁殖して再び頭皮に移ってしまいます。定期的に洗ったり、内側を除菌シートで拭くなどのケアを忘れずに。
おすすめのスカルプケア成分紹介
冬の頭皮は、「うるおいを守りながら清潔に保つ」ことがポイント。シャンプーやローションを選ぶ際は、以下のような成分をチェックしてみましょう。
- グリチルリチン酸2K（グリチルリチン酸ジカリウム）
肌荒れやかゆみを防ぐ有効成分。頭皮環境を穏やかに整え、炎症を抑える効果が期待できます。 - セラミド
バリア機能をサポートし、乾燥によるフケやかゆみを防止。保湿の要として、頭皮の水分をしっかりキープ。 - アミノ酸系洗浄成分（ココイルグルタミン酸Naなど）
やさしく汚れを落としつつ、うるおいを残す洗浄剤。敏感肌にもやさしく、頭皮の乾燥を防ぎます。 - 植物エキス（ローズマリー、ティーツリー、カミツレなど）
抗菌・抗酸化作用を持ち、皮脂酸化や菌の繁殖を抑制。自然な香りでリラックス効果もプラス。 - ヒアルロン酸・コラーゲン
保湿力の高い成分で、乾燥した頭皮にハリとうるおいを与えます。マッサージローションにおすすめ。
「頭のてっぺんのニオイ」は、冬の乾燥と皮脂のアンバランスがつくるサイン。洗う・乾かす・うるおすの3ステップに、肌にやさしい成分を取り入れるだけで、髪も頭皮も清潔でしなやかに。季節の変わり目も、自信をまとう“香りの印象美”を育てましょう。
※ご注意 本記事は、生活習慣に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の医療的効果や症状の改善を保証するものではありません。内容のご利用にあたっては、あらかじめご了承ください。
美容皮膚科・美容外科医
1999年東海大学医学部卒業、順天堂大学大学整形外科医局入局。2005年より順天堂大学麻酔科医局入局し、ペインクリニックで整形外科関連の痛みに関する治療を学び、麻酔科標榜医取得。
