ワキガ臭、年代でどう変わる?
思春期に始まったワキガの悩みは、大人になってからも同じ強さで続くのでしょうか。それとも年齢とともに変わっていくのでしょうか。ワキガのニオイは一生を通じて一定ではなく、体の変化に応じてゆるやかに強さや性質が移り変わっていくと考えられています。ここでは、年代ごとのニオイの傾向と、それぞれの時期に意識したいポイントを整理します。
ワキガのニオイを左右する「アポクリン腺の働き」
ワキガのニオイのもとになるアポクリン腺は、生まれたときから脇の下にありますが、その働きは一生を通じて同じ強さで続くわけではありません。性ホルモンの分泌量と密接に関わっているため、ホルモンバランスが大きく変化する時期に合わせて、アポクリン腺の活動も変化していきます。年代ごとの傾向を知っておくと、「今の自分の状態」を過度に心配しすぎずに受け止めやすくなります。
ホルモンとアポクリン腺、もう少し詳しく
アポクリン腺は、男女ともに分泌される性ホルモン(男性ホルモン・女性ホルモン)の両方から影響を受けると考えられています。性ホルモンの分泌量が全体として多い時期は、アポクリン腺への刺激も強くなりやすく、逆に分泌が少ない時期は、働きも落ち着きやすい傾向にあります。思春期に急激にホルモンが増えることでアポクリン腺のスイッチが入り、更年期にかけてホルモンが減っていくことで、そのスイッチが徐々に弱まっていく、というイメージで捉えるとわかりやすくなります。ただし、この変化の大きさやスピードには個人差が大きく、同じ年代でも感じ方は人それぞれです。
年代別に見るワキガ臭の移り変わり
思春期(10代前半〜後半)
第二次性徴とともに性ホルモンの分泌が急激に増え、アポクリン腺の働きが一気に活発になる時期です。今まで気にならなかった脇のニオイに初めて気づき、戸惑う人が多いのもこの時期です。体が大人に近づく過程での自然な変化であり、多くの人が同じように経験することだと知っておくと、必要以上に思い詰めずに対策を始めやすくなります。
20代〜30代(成人期)
ホルモンの分泌が安定し、アポクリン腺の働きも比較的一定して活発な状態が続く時期です。仕事や人付き合いの機会が増え、ニオイへの意識も高まりやすいタイミングでもあります。生活習慣(睡眠、食事、ストレス)による変動を感じやすいのもこの年代の特徴で、体調や環境によってニオイの強さが上下しやすいと感じる人も少なくありません。
妊娠中・産後
妊娠中はホルモンバランスが大きく変動し、汗や皮脂の分泌が普段と異なる状態になることがあります。人によってはニオイを強く感じたり、逆に変化を感じなかったりと差があります。産後はホルモンが元の状態に戻っていく過程で、体臭の感じ方が変わることがあると言われています。
更年期(40代後半〜50代)
女性ホルモンの分泌が徐々に減少していく時期で、アポクリン腺の働きにも変化が現れやすいとされます。一般的には、性ホルモンの影響を受けるアポクリン腺の活動はゆるやかに落ち着いていく傾向があると言われる一方、この時期特有のホットフラッシュ(ほてり・急な発汗)によって汗の量そのものが一時的に増え、汗が肌にとどまる時間が長くなることで、結果的にニオイを強く感じる場面が増えることもあります。
更年期以降(60代〜)
ホルモンの分泌が落ち着いた状態が続き、多くの場合、アポクリン腺の活動もゆるやかになっていくとされています。ただし、皮膚の乾燥や汗腺の機能低下など、加齢にともなう別の変化(いわゆる加齢臭など)が新たに現れることもあり、「ワキガのニオイが年齢とともに別の種類のニオイに置き換わっていく」と感じる人もいます。
年代を通じて変わらない「対策の基本」

ホルモンの影響でニオイの出方は変化しますが、対策の基本的な考え方は年代を通じて共通しています。
- 汗をこまめに拭き取る
どの年代でも、肌に汗を長くとどめないことがニオイを抑える基本です。 - 清潔で乾いた肌に製品を使う
年代によって肌質が変わっても、この使い方の基本は変わりません。 - 衣類を清潔に保つ
皮脂や汗が繊維に蓄積すると、年代にかかわらずニオイの原因になります。 - 自分の今の状態に合わせて製品を見直す
肌質やホルモンの状態が変われば、これまで合っていた製品が合わなくなることもあります。定期的に見直す姿勢が役立ちます。
「今のニオイ」を過去や将来と比べすぎないために
ニオイの感じ方は、その時々の体調・気温・服装・ストレスなど、多くの要因が重なって変わります。「思春期の頃より強くなった気がする」「更年期に入ってから変わった」と感じても、それは体が自然に変化している証拠でもあります。過去の自分や、周囲の同年代の人と比べて一喜一憂するより、「今の自分の状態に合った対策」を見つけることに意識を向けるほうが、長く付き合っていくうえで気持ちが楽になります。
季節による変動と年代による変動を分けて考える
ニオイの強さは、年代による長期的な変化とは別に、季節や気温による短期的な変動も受けます。「今年の夏は去年より強い気がする」と感じても、それが年代による変化なのか、その年の気温や湿度、体調による一時的なものなのかは、すぐには判断がつきません。数か月単位ではなく、数年単位で振り返って初めて見えてくる変化もあるため、短期的な感じ方の違いに一喜一憂しすぎないことも大切です。
よくある疑問Q&A

Q. 年齢を重ねればワキガは自然に治りますか?
A. アポクリン腺の活動はホルモンの変化にともなってゆるやかに落ち着いていく傾向があるとされますが、体質そのものがなくなるわけではなく、個人差も大きいです。「そのうち治る」と対策をやめてしまうより、その時々の状態に合わせたケアを続けることをおすすめします。
Q. 更年期になってから急にニオイが強くなった気がします。何か対策はありますか?
A. ホットフラッシュによる急な発汗が影響していることがあります。汗を長く肌にとどめないよう、こまめな拭き取りや着替え、通気性のよい衣類を意識してみましょう。強い不快感が続く場合は婦人科への相談も選択肢です。
Q. 若い頃と同じ制汗剤を使い続けていますが、最近効果を感じにくいです。なぜですか?
A. 加齢とともに肌質やホルモンの状態が変化すると、以前は合っていた製品の使用感が変わることがあります。年代の変化に合わせて、成分やタイプの異なる製品を試してみるのも一つの方法です。
まとめ
ワキガのニオイは、性ホルモンの分泌と連動しながら、思春期から成人期、妊娠・出産、更年期、そしてその先へと、一生を通じてゆるやかに移り変わっていきます。今のニオイの強さを、過去や周囲と比べて悩みすぎる必要はありません。年代ごとの体の変化を理解し、そのときどきの自分に合った対策を柔軟に見直していくことが、長く付き合っていくコツです。
※ご注意 本記事は、生活習慣に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の医療的効果や症状の改善を保証するものではありません。内容のご利用にあたっては、あらかじめご了承ください。
美容皮膚科・美容外科医
1999年東海大学医学部卒業、順天堂大学大学整形外科医局入局。2005年より順天堂大学麻酔科医局入局し、ペインクリニックで整形外科関連の痛みに関する治療を学び、麻酔科標榜医取得。










