ワキガに自分で気づくには?
「もしかして、私ってワキガかも…?」
ふとした瞬間に自分のニオイが気になり、不安を抱える方は決して少なくありません。しかし、自分のニオイを客観的に判断するのは非常に難しいものです。
人間の鼻には「嗅覚の順応(疲労)」という仕組みがあり、常に自分のニオイを嗅いでいると、脳がそのニオイを感じなくなってしまいます。そのため、直接脇のニオイを嗅ごうとしても、正確な判断はできません。
この記事では、嗅覚の慣れをリセットして「今の自分のニオイ」を客観的に知る最も確実な方法(ティッシュ・ガーゼ診断法)と、体質を見極めるチェックポイントを詳しく解説します。
なぜ「汗くさい」と「ワキガ」は違うのか?

セルフチェックの前に、まずはニオイの仕組みを知る必要があります。人間の身体には、性質の異なる2種類の汗腺が存在します。
- エクリン汗腺: 全身にあり、体温調節のために「水分」を出す汗腺。いわゆる「汗くさい(酸っぱい)」ニオイの原因です。
- アポクリン汗腺: 脇の下やデリケートゾーンなど特定の部位にあり、タンパク質や脂質を含んだベタベタした汗を出す汗腺。この汗を常在菌が分解することで、ワキガ特有の強いニオイが発生します。
ワキガ体質かどうかは、この「アポクリン汗腺」の量と働きによって決まります。これを見極めるためのポイントを確認していきましょう。
今すぐできる!確実な「ティッシュ・ガーゼ診断法」

自分のニオイを最も正確に判断できるのが、脇にかいた汗をティッシュやガーゼにうつし、少し時間を置いてから確認する方法です。入浴前や、1日着た服を着替えるタイミングなど、「脇に汗をかいている状態」で行うのが最適です。以下の4つのステップで実践してください。
STEP 1:清潔なティッシュ(またはガーゼ)で脇を拭き取る
無香料のティッシュ、または清潔なガーゼやコットンを用意し、脇の下に直接当てて、汗や皮脂をしっかりと拭き取ります。ゴシゴシ擦るのではなく、押し当てるようにして汗を吸い取らせます。
STEP 2:ジップロック等の袋(またはコップ)に密閉する
拭き取ったティッシュを、すぐにチャック付きの密閉袋(ジップロックなど)に入れるか、紙コップに入れてラップで蓋をします。ニオイの成分を逃がさず閉じ込めるための重要な工程です。
STEP 3:別の部屋に行き「嗅覚をリセット」する
ここが最大のポイントです。ティッシュを入れた袋を置いたまま、一度別の部屋や外に出ます。5分〜10分ほど違う環境の空気を吸うことで、自分のニオイに対する「嗅覚の慣れ」を完全にリセットします。(コーヒー豆のニオイを嗅ぐのも効果的です)
STEP 4:開封して「ニオイ」と「色」をチェックする
嗅覚がリセットされた状態で袋を開け、中のティッシュのニオイを嗅いでみてください。この時に感じるニオイが、周囲の人が感じている客観的なあなたのニオイです。
- ニオイの判定: 単なる「すっぱい汗のニオイ」ではなく、「鉛筆の芯のようなニオイ」「スパイス(クミン)のようなニオイ」「ツンとするネギのようなニオイ」がした場合、ワキガ(アポクリン汗腺からの汗)である可能性が高いです。
- 色の判定: ティッシュにうつった汗の色を確認します。無色透明ではなく、「うっすらと黄色っぽい色」がついていた場合、ワキガの原因となる脂質やタンパク質が多く含まれている証拠です。
さらに精度を高める!ワキガ体質を見極めるサイン
以下の項目に当てはまる数が多いほど、ワキガ体質である可能性が高くなります。
1. 耳垢が「キャラメル状」に湿っている
【重要度:高】
ワキガ体質を見分ける上で、最も確実性の高い指標が「耳垢」です。耳の中にはエクリン汗腺がなく、アポクリン汗腺のみが存在します。そのため、耳垢がカサカサと乾燥しているのではなく、キャラメルや溶けたチーズのようにドロっと湿っている場合、脇の下のアポクリン汗腺も多く発達している可能性が極めて高いと言えます。
2. 衣服の脇部分に「黄ばみ」ができる
【重要度:高】
白いシャツやインナーを着た際、脇の部分だけが黄色くシミになっていませんか?通常の汗(エクリン汗腺)は無色透明ですが、アポクリン汗腺から出る汗には「リポフスチン」という色素成分やタンパク質、脂質がたっぷり含まれています。これが衣服に付着し、酸化することでガンコな黄ばみが生じます。
3. 親や祖父母がワキガ体質である
【重要度:高】
ワキガ体質は、優性遺伝によって親から子へ受け継がれます。両親のどちらかがワキガ体質であれば約50%、両親ともにワキガ体質であれば約80%という高い確率で遺伝します。血縁者にワキガ体質の方がいる場合、ご自身も同じ体質を受け継いでいる可能性が高いです。
4. 脇毛の量が多く、白い粉がつくことがある
【重要度:中】
アポクリン汗腺は毛根に開口しているため、脇毛が多い人や一本一本が太い人は、アポクリン汗腺も大きく発達している傾向があります。また、脇毛に白い粉(結晶)のようなものがつく場合、それはアポクリン汗腺から分泌された成分が乾燥して結晶化したものです。これもワキガ体質のサインの一つです。
もしワキガ体質だとしても、焦る必要はありません
診断の結果、もしワキガ特有のニオイを感じたり、該当する項目が多かったりしても、決して落ち込む必要はありません。
ワキガは病気ではなく、生まれ持った「体質(個性)」です。見えない不安に怯えるより、まずは正しく現状を把握することが大切です。自分の体質の傾向を知り、優秀なデオドラントアイテムを活用したり、生活習慣を見直したりすることで、ニオイは十分にコントロール可能です。
※ご注意 本記事は、生活習慣に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の医療的効果や症状の改善を保証するものではありません。内容のご利用にあたっては、あらかじめご了承ください。
美容皮膚科・美容外科医
1999年東海大学医学部卒業、順天堂大学大学整形外科医局入局。2005年より順天堂大学麻酔科医局入局し、ペインクリニックで整形外科関連の痛みに関する治療を学び、麻酔科標榜医取得。








